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ボルドー赤古代小麦 (triticum aestivum)

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1830年、ルイパンタレオン侯爵ジュードノエ(ミランデ近くのリルドノエの荘園領主)は、ウクライナのオデッサから来た新しい種類の小麦を発見。 1880年、この小麦から新しい麦が生まれました(ニックネームは「ノエの小麦」)。この最高の種苗が数世代にわたって生き残り、次に挙げる新しい品種ができました:「Japhet」、「Gros bleu」、「Rouge de Bordeaux」(ボルドー赤古代小麦)。1880年、ヘンリードビルモランはフランスで栽培された地元小麦を棚卸ししました。いわゆる「ボルドー赤古代小麦 」は、主にジェール、ブリー、ボースで栽培されました。殻はボルドーワインのように赤いので、「赤い小麦」と呼ばれるように。収穫量が少ないため(約2トン/ヘクタール)ほぼ幻に近い古い小麦の品種です。背が高いので(高さ1.75 m)風雨によって折れやすい。 ちなみに、ビルモランの会社は一時的に商用ハイブリッド小麦を作りました(「ダッテル」ハイブリッド小麦)。その後残念な事にハイブリッド品種同士の勾配に成功。そうして20世紀の初め頃からフランス中心部では地元小麦の品種はほとんど消滅。産業農業と遺伝的多様性の侵食による被害の始まりです。 今週の「ボルドー赤古代小麦パン」は自家製石臼全粒粉のみです(穀物の99%を使用)。ボルドー赤古代小麦の特徴はこちら。 ・胚芽入り(ビタミンとミネラルが豊富) ・麦胚乳入り(タンパク質と炭水化物が豊富) ・殻入り(食物繊維が豊富) ・ベータカロチンが豊富 第二次世界大戦後まで、フランスとヨーロッパの地域で独自地元産麦が栽培されてた、地域の特定の気候と独特のテロワールに適していた。戦後、空腹人口を養うことが不可欠だった。産業集約農業は「グリーン革命」と誤って呼ばれてた。 In 1830 the Marquis of Louis Pantaleon Judenoye (a manor of Lildonoe near Milande) discovered a new type of wheat from Odessa (Ukraine). From 1880, selections were made from this wheat (nicknamed “Noah's wheat”). The best seedlings are sel...

エンバク(Avena sativa)

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今週、ウィキペディアは非常に正確なので、記事を書きませんでした。Sorry ! :) 
>>> https://ja.wikipedia.org/wiki/エンバク エンバク(Avena sativa) 
“ 原産地は地中海沿岸から肥沃な三日月地帯、中央アジアにかけてであり、この地方には現代でも野草型のエンバクが広く分布している。やがてこの雑草型エンバクが休眠性や非脱落性といった穀物の重要な特性を獲得していき、約 5,000 年前に中央ヨーロッパで作物となったと考えられている。エンバクは栽培化された中央ヨーロッパを中心に栽培され、ローマ帝国がこの地方に進攻するとともにローマにも伝えられた。ローマにおいては飼料用にしか使用されず、人間の食用となることはなかったが、一方ローマの北方に居住していたゲルマン人はエンバクを栽培し、人間の食用としていた。中世のフランスにおいても、湿潤な高地においてはエンバクが主に栽培される穀物であった。また、中世のエールにはオオムギ麦芽のほかにしばしばエンバクの麦芽が使用された。オートミールを食用とするのは貧しい農民が主だったが、これは穀物を粉に挽かなければならないパンとくらべ目減りが少ないうえ、石臼を持つ粉屋やパン屋から手数料を差し引かれる必要もなく、価格も安いためであった。 エンバクの水溶性食物繊維の大部分はβグルカンである。エンバク由来のβグルカンについて血中コレステロール値上昇抑制作用、血糖値上昇抑制作用、血圧低下作用、排便促進作用、免疫機能調節作用などが欧米を中心に多数報告されている。このコレステロール低減という特質が確定されたことも、健康食品としてエンバクが受け入れられる理由となった。また、エンバクはコムギと比べたんぱく質や脂質が多く含まれているうえ、もっとも利用されるオートミールが全粒穀物であるため、精白された他の穀物と比べてさらに多くの食物繊維やミネラルを取ることができる。逆にこれらの含有量が高いため、デンプンの割合はほかの穀物に比べて低く、エネルギー量はやや低いが、これもまたエンバクが健康的であるとされる理由のひとつとなった。” ここに掲載している文章と情報はステファン・エックオリジナルのものです。通常マナーとして、コピー&ペーストは控えてください。©2020 Stéphane Eck

ジャン・デュビュッフェの引用

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Jean Dubuffet Le Pain du sol II - 1958 「私が興味を持っているのはパンでありケーキではない。ごくまれにせいぜい小さなブリオッシュを一つ。パリではまず私のような人を紳士であると認めない。ケーキよりもパンを好むのはとても風変わりだと思われるから。ケーキよりもパンが好きになったなら、パティシエの機嫌を損ねることとなる。パティシエだけでなく、美術館、アートディーラー、美術評論家などの施設も。。。それらはまさにパリの名物であり、多くの人々の暮らしを支えてる。確かにケーキ博物館を作ることができる、しかしパン博物館を作るのは面白くない、パンはあまりにも日常的で変わり映えがしないから。一方ケーキに関しては、話題が尽きない。協議したり、またたくさんのお金を稼ぐことができるのだ。」 ジャン・デュビュッフェ「コーゼット」(1947)- 1947年にドルアンギャラリーでの展覧会のために書かれた記事 “Ce qui m’intéresse à moi ça n’est pas les gâteaux c’est le pain. Une fois de temps en temps un gâteau je ne dis pas non mais alors un petit gâteau modéré, une brioche tout au plus, qui se souvienne de sa farine et de son pétrin. A Paris on admet ça difficilement qu’un monsieur soit comme ça, si excentrique d’aimer mieux le pain que les gâteaux. On pense alors que ça peut être pour faire l’intéressant, pour se faire remarquer. Ou bien plutôt pour faire une farce. On a très peur des farces à Paris. On est toujours en train de faire attention qu’on ne vous fasse pas une farce. Si on ...

To buckle the buckle...

To buckle the buckle... Since this little bakery opened there 3 years ago, the bread has dramatically evolved (the few loyal customer could confirm that). The selection of ingredients has a lot to do with it : organically grown ancient wheat, fine Guérande salt only, filtered water (unfortunately there is no spring nearby), organic seeds and fruits. The menu has also been simplified over the years : no more butter cakes, sweet, creamy, fancy breads (things that I personally don't eat)... I guess, my mistake was to try to satisfy everyone. Right now, there is only natural levain bread and natural levain brioche (for regular customers with a sweet tooth!). Looking back in time, I realise that after all those years, I'm constantly driven by the same gravitational force; always eager to climb to the top of the mountain, contemplate the view and finally go along with the stream toward the ocean. Those who have known me for a long time, know how China caught my atte...

コラサン古代麦 ( Triticum turgidum subsp. turanicum )

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コラサン麦はブランド名として「カムット」と呼ばれることもあります。 コラサン麦は現代のデュラム小麦(ハードウィート)の祖先です。デュラム小麦とポーランド麦(肥沃な三日月地帯から)の自然な雑種であり四倍体小麦です(4組の染色体、4n = 28)。穂軸はデュラム小麦の3倍の大きさの穀物をつけます。名前の由来は発祥した地域にちなんでいます:古代ペルシャのコラサン州。この州には現在のイラン、アフガニスタン、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタンが含まれており、中でもコラサン州は絨毯やサフランの栽培でも有名でした。コラサン麦の正確な起源は不明です、そのため沢山な伝説があります! 1949年、アール・デッドマン氏(ポルトガルにいるアメリカ人のパイロット)は、別のパイロットからエジプトで購入したという32粒の巨大な小麦を受け取りました。伝説によるとそれらの穀物はエジプトのツタンカーメンの墓の中にあったといいいます(コラサン麦のもう一つの呼び方は「ツタンカーメン王の小麦」。)デッドマン氏はモンタナに住む父親に麦の粒を送り、家族は穀物を植えました。しかしコラサン麦は当時人気がなく、すぐに忘れ去られました。 コラサン麦がいつどのようにエジプトに導入されたのかは不明です。ある説ではギリシャやローマの侵略者の軍隊によってエジプトに導入されたとあり、またおそらくその後、ビザンチン帝国によってもたらされたと考えられます。別の伝説によると、ノアはこの穀物を彼の箱舟に持ち込んだため「預言者の小麦」と呼ばれるようになったと。最後にトルコでは、この麦の形状がラクダの歯のように見えるため「ラクダの歯」のニックネームが付けられています。 1977年、モンタナ州出身のクイン兄弟がコラサン麦を再発見しました。彼らはこの古代麦を再び栽培することに。1990年、クイン兄弟は「カムット」のブランドを登録しました。彼らは高水準の品質憲章を定義していますそれは:原始の穀物のみの有機栽培(交雑または遺伝子組み換えをしていないこと)。 「ツタンカーメン王の小麦」「カムット」「預言者の小麦」「ラクダの歯」などなど、これらの呼び方とは関係なく、コラサン麦の栄養価は非常に高いです。粒は黄色、これはカロテノイドがたくさん含まれているからです。香りはヘーゼルナッツやバターの甘い味を連想させます。コラサン麦の主な特徴をまとめ...

ルヴァンのパンはパンの味がする!

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酵母あそび 日本に住むようになってから「イースト」と「酵母」という言葉をたくさんを聞いてきました。日本の「パン屋」さんはつくづく酵母遊びが好きなんだなといつも思います。「天然酵母」と言われるパンは、味と色のカーニバルです:パンイースト、ドライイースト、レーズン、イチゴ、酒麹、野菜、バラ、グリシン、ヨーグルト、リンゴ、ラベンダー、タンザワ酵母など。ヨーロッパではそのような酵母はまず見かけないです。何もないところから生地が立ち上がるところを見ることは、もしかしたら自己満足の頂点かもしれません、しかし最も重要なことが欠けているそれは:発酵というものの健康上の利点です。フランスとは異なり、日本ではパンの特定な法律がありません。でたらめでも、たくさんの店はオーガニックと手作りのパンを焼いていると謳っています。もちろんそれが本当かどうかなど誰も気にしないし、処罰もないです。近年では、ほとんどの店が「天然酵母」で「製品」を宣伝しています。誤解を招くマーケティングです。はたして「天然酵母」を謳えばそれは自然と「健康」を意味するのでしょうか ?大きなパン屋さんで「天然酵母のパン」を売ってる!ナイスジョーク ...ほとんどの「天然酵母」は、工場で栽培され調整されています(普通のイーストのように)。人をだますのは簡単!先延ばしにする必要はないのです:貪欲なパン屋さんはイーストを使って素早く大量に粗悪なパンを作るのです。
一方本当のパン屋さんは、ゆっくりと時間をかけて、古来からの方法で「天然ルヴァン酵母」を使います。 天然ルヴァン酵母とは何でしょう? 
最初の発酵パンが失敗の結果できたものだとしましょう!伝説によると:ファラオの召使いは屋外で生の生地を準備したまま忘れていました。そこに雨が降って...麦殻に生きている酵母とバクテリアが発酵。つまり穀粉と水の混合です。穀粉の酵母(単細胞キノコ)とバクテリア(乳酸菌)が発酵をしたのです! すべてはpHの問題です。 
完全な発酵の活性化のためには、時間(少なくとも12時間)と適切な酸性度(pHが5未満の場合)が必要です。私が作ってる生地のpHは約4.2です(季節と温度によって)。生地を酸性化するので、天然ルヴァン酵母はパンの栄養価を増加しタンパク質の分解変換を促します。比較すると:生イースト、ドライ...

スペルト古代麦 (Triticum spelta)

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ギリシャ神話によると女神デメテルは大昔、人間にスペルト麦を与えました。ギリシャの船乗りたちは世界中を旅して人々にスペルト麦の栽培を教えました。 実際、最も古いスペルト麦の痕跡は新石器時代の施設にさかのぼります (西ジョージアとメソポタミア)。これらの考古学的発掘により、スペルト麦のルーツをたどることができました:黒海、ブルガリア、ポーランド、スウェーデン、デンマーク。中央ヨーロッパでは、スペルト麦の栽培は青銅器時代の終わり (紀元前1100~800年) までさかのぼります。スペルト麦は西ヨーロッパで11世紀まで冬の穀物の主として豊富に栽培されていました 。ガリア人 (昔のフランスの住人) が消費する主な穀物であり、ガリア人は帝国時代のローマにスペルト麦を供給しました、その為スペルト麦は「ガリア人の小麦」と呼ばれます。また、ガリア人はこの麦を使ってセルボワーズ (ビールの祖先) を作りました。 膨大な年月を経てエンマー(四倍体麦)と野草(「タウシュ」エギロプス属)が自然な交配をしてできた小麦です。スペルト麦は六倍体麦で小麦とは単一の遺伝子 (Q遺伝子) が異なり、スペルトイド遺伝子と呼ばれる。結果:スペルトは殻粒 (服を着た粒) です。花軸は壊れやすく、脱臼する。脱穀の間に小穂は完全なままです (花軸が付いた状態で) 。穀物をはがす必要があり、30%の損失があります。下記がスペルト麦の特徴です。 穀物のエネルギー値は小麦と同じです。 タンパク質含有量は19% (小麦の場合11%)。 スペルト麦には、小麦の3倍のアルブミン、リンとビタミンAが含まれています。 リジン(アミノ酸)が豊富。 マグネシウム、亜鉛、鉄、銅が豊富です。 ここに掲載している文章と情報はステファン・エックオリジナルのものです。通常マナーとして、コピー&ペーストは控えてください。©2020 Stéphane Eck